特別対談:ビジネスを加速させる“同志”の力。共創コミュニティの可能性とは(第3回/全4回)|pluszero小代氏 × INTLOOP林
- INTLOOP Ventures Innovation Community編集部
- 6月13日
- 読了時間: 7分
更新日:6月20日

イントロダクション
今回の対談では、株式会社pluszero代表の小代氏と、INTLOOP株式会社代表の林が、AI時代におけるビジネスのあり方や人材戦略などについて意見を交わしています。
対談の後半では、それぞれの立場から「共創」の重要性にも話が及びます。
企業が単独で市場を切り拓く時代から、志を同じくする者たちが手を取り合い、ともに未来を切り拓いていく流れへ。
そして、コミュニティの中で生まれる偶然の出会いが、やがて世界に挑む事業の芽となっていく——。
そんな熱量あふれる両者のやりとりを、ぜひお楽しみください。
―― ここからはお二人で、さらに話を深めたいこと、まだ話し足りないところなどを自由に語っていただけたらと思います。
林:
今、当社では「IVIC(アイビック)」という組織を立ち上げていまして、特にAI系のベンチャー企業の方々に集まっていただき、コミュニティを形成しています。
その中では「共創型エコシステム」という形を目指しており、1社単独で何かをやっていくのではなく、お互いの弱みを補完し合いながら一緒にビジネスを進めていこうとしています。
小代さんのところでも、他のAI企業や、あるいはAI以外の企業とコラボレーションするような取り組みはされていますか?
コミュニティという形でなくても、連携の事例などあれば教えてください。
小代:
そうですね。私たちが中核に置いているのは、冒頭でもお話した「高信頼性のAI」、いわゆる次世代型AIなんですが、それについては、もはや自社単独でマーケットに進出するという考え方ではなく、最初から「仲間と一緒にやる」という前提で進めています。
たとえば、ITの運用保守の分野では丸紅さんとパートナーシップを組んでいますし、コールセンター領域ではアップセルテクノロジィーズさんと一緒にやっています。彼らはそのマーケットを熟知していて、我々が単独では届かない部分をしっかりカバーしてくれています。
特にアップセルテクノロジィーズさんとは、あるコミュニティで出会ったのがきっかけなんですけど、何が良かったかというと、「未来への挑戦」に同じ熱量を持って向き合える同志のような存在だということです。
ちょっと孫さんみたいな表現になりますけれど、未来を一緒に創るには、想いを共有できる仲間、パートナーが絶対に必要だと思っています。
なので、私たちはこの次世代AIという領域においても、「パートナーシップありき」で事業を進めていて、その相手は、同じ目線で勝負をしていける仲間であることが大前提なんです。
林:
我々もコンサルティング会社として、製造業、金融、流通など、さまざまな業界のお客様を支援しています。そういった多様なニーズに対応しようとすると、1社だけでソリューションを作るのは非常に大変です。
そこで、特定分野に強みを持つAI企業や、それに限らず各領域に特化したベンチャー企業と協業する必要性を感じています。その出会いの場として、コミュニティを作ってしまえばどうかと考えたんです。先ほどの話にもありましたが、そういった場で出会うことで自然と仲良くなり、協業のきっかけになるケースも多いですから。
我々としても、ある程度まとまりを持ったチームを形成して、ベンチャー同士が連携するのも面白いですし、そこに我々だけでなく、小代さんのような上場企業や、プライム市場に上場している大手企業にも加わっていただいて、より広がりのあるコミュニティが作れたらいいなと考えています。

小代:
素晴らしい取り組みですね。やはり、今後日本がAIで世界と戦っていくためには、いかに多くの、そして質の高い事例を生み出せるかがカギだと思っています。
そのためにも、今おっしゃったように、ベンチャー同士、あるいはベンチャーと大企業が、思いを共有しながら、できるだけ早くコミュニティを通じてつながり、同じ方向にベクトルを向けてスピード感をもって勝負していく。そうした取り組みを数多く、まさに化学反応的に起こしていくことが、これからの時代には必要なんじゃないかなと感じています。
林:
そうですよね。
もちろん遊びのようなイベントもあっていいと思いますが、まずはそこで人間関係を築いて、いずれは一緒に仕事をしながら、何らかのソリューションを共に作っていく。
私としては、最終的にそれが我々の自社でできるかはさておき、海外で勝負できるような企業がどんどん出てきてくれたらうれしいですね。
小代さんのところでは、海外進出も視野に入れていらっしゃいますか?
小代:
はい、強く意識しています。特に今のタイミングでは、海外の機関投資家にも信頼されるような企業づくりが求められていますし、マーケットや資金調達の面でも、グローバル化を避けては通れません。
幸い、我々の技術は比較的スムーズに海外展開できるポテンシャルを持っているので、そこは明確に戦略として進めていきたいと思っています。
林:
なるほど。ソリューション型のビジネスは、海外展開しやすいですもんね。
小代:
おっしゃる通りです。
だからこそ、海外で通用するソリューションをしっかりと作り込んで、万全の準備を整えたうえで進出しようという方針は、以前から明確に持っています。ようやくその道筋が見えてきたところですね。
林:
そういう領域でご一緒できたら最高ですね。
小代:
本当にそうですね。
コミュニティにおいても、そこでつながったメンバーが実際にグローバルで成果を出すようになれば、その成功事例が他のメンバーにも伝播していく。
結果的にそれが大きなうねりになって、さらに加速していくと思います。
私自身、そういった意味でも率先してコミュニティに参加し、周囲に刺激を与えられる存在になっていきたいと考えています。

―― ありがとうございます。先ほど、小代さんご自身も、コミュニティを通じて色々な出会いがあったというお話をされていましたが、運営側に対して「こんな仕組みがあれば、もっとコミュニティが活性化するのでは」と思われるポイントがあれば、ぜひ伺いたいです。
小代:
先ほどの話にも通じますが、やっぱり「同じ熱量を持っている」とか、「波長が合う」といったことがすごく大事だと思っています。
私は「世界で競争していきたい」という強い気持ちを持っていますし、新しい技術を誰よりも早く現場に投入して、新たな価値を生み出していきたいと考えている。だからこそ、そういう志を持った人たちと出会いたいという思いが強いんです。
ですので、運営される方々には、そういった気概を持った方を集めていただきたいですね。また、熱量や価値観を恥ずかしがらずに共有し合えるような、安心感のある雰囲気づくりをお願いしたいと思っています。
私はサッカーをしているので思うのですが、サッカーのチームビルディングとコミュニティづくりは似ているなと感じているんです。誰かが「しっかりやろうぜ」と雰囲気をつくると、それが自然と伝播していく。だからこそ、まずは運営者自身が、「価値を出し続けていこう」「世界で戦おう」という前向きな気持ちを持ってくださると、参加者にもその熱が伝わっていくと思います。
林:
そう言われて、我々としても反省点があります。実は私自身、以前はITとはまったく関係ない貿易の仕事をしていて、お酒なんかを海外に販売していたんですよ。自分でやっていました。その後、ITのビジネスに集中するようになってからは、なかなか海外との接点が持てずにいましたが、いずれまた海外にも挑戦したいという気持ちはずっと持っています。
ただ、自社としてまだそこまで到達していない分、小代さんがおっしゃっていたような「熱量」を伝えきれていないところもあって…。だからこそ、すでに海外展開をしているような仲間を、もっと巻き込んでいかないといけないなと感じています。もし、誰かご紹介いただける方がいれば(笑)。
小代:
もちろん、周囲を刺激し合いながら、どんどん仲間を増やしていきましょう。ご紹介もしますよ!
林:
ありがとうございます。その代わりと言っては何ですが、小代さんのところにも良いベンチャーがご紹介できるよう、我々も集客を頑張ります。
小代:
いいですね、みんなで盛り上げていきましょう。
林:
はい、ぜひよろしくお願いします!

* * *
今回は、AI分野における共創のあり方やコミュニティの役割、そしてグローバル展開への視座について語られました。
コミュニティやネットワークを活かし、価値ある事例を生み出し続けることが、AIビジネスの成長や海外展開を支える重要な基盤となる――そのことが改めて浮き彫りになった回でした。
多様なプレイヤーとの連携や、継続的な実践の共有が、今後のさらなる展開を力強く後押ししていくことが期待されます。
次回(第4回/最終回)「「勝てる物語」を描けるか――。若手起業家に問われる資質と、リーダー層が持つべき覚悟」では、両氏がそれぞれの立場から「起業家としての資質」や「成長を促すための環境づくり」について語り合います。
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