INTLOOP Ventures AI Lightning Pitch vol.01イベントレポート(2)|ライトニングピッチ
- INTLOOP Ventures Innovation Community編集部
- 5月28日
- 読了時間: 29分
更新日:6月20日

イントロダクション
2025年4月21日、INTLOOP株式会社は「INTLOOP Ventures AI Lightning Pitch vol.01」と題し、AI領域での成長を目指すスタートアップとVCとの出会いを創出するミートアップイベントを開催しました。
この記事では、当日登壇した7社のスタートアップによるピッチの内容全体をご紹介します。それぞれが自社の紹介とあわせ、AIを活用したビジネスの可能性を探りながら現在取り組んでいる事業や、描いているビジョンについてプレゼンテーションを行いました。
※イベント全体のレポートは以下の記事をご覧ください。

株式会社AI Impulse 代表取締役 水谷 晃大 氏
弊社は、VTuber好きが集まり、AIの力でインパクトを高めていこうというカルチャーを持つ会社です。
現在、主に2つの事業を展開しております。
1つ目は、「AIライブコマース」です。
これは、見た目はVTuberでありながら、中身は生成AIによって作られたキャラクターが、多言語で商品を紹介・販売していくという仕組みです。
もう1つが、「Lumina Live」というサービスです。
こちらは、AIのライバーがダンスや歌を披露し、それに対してユーザーが投げ銭を行うというモデルです。
現在は、VTuberとして有名な方をAI化したり、芸能事務所の俳優さん・女優さんをAIキャラクター化するなど、AIエンタメの新たな展開を進めております。
今後も、AIを活用した新しいエンターテインメントの形を広げていきたいと考えています。
ライブコマースに関しては、現在主に2つのタイプがあると考えています。
1つ目は、有名なインフルエンサーの方がライブ配信を行い、1時間で約1,500万円の売上をあげるようなケースです。
もう1つは、自社の社員が週に3〜4回ほどライブを行うスタイルです。
現時点では、この2つが主な手法となっています。
ただし、いずれにも課題があります。
インフルエンサーを起用する場合、1回あたりの出演料が50〜300万円ほどかかり、加えて商品の内容との親和性が低いため、必ずしも売上につながらないことがあります。一方、自社の社員を起用する場合は、ライブ番組に出演したものの、誹謗中傷などの影響で精神的に疲弊し、退職してしまうケースもあります。そうなると、そのコンテンツは再利用できず、継続的な活用が難しくなるという問題があります。
これに対して弊社では、AIキャラクターを活用することで、出演者への依存をなくす安定的な運用を目指しています。さらに、AIキャラクターは多言語配信に慣れており、現在は英語・中国語・韓国語・日本語の4言語に対応しています。
営業先としては、インドネシアやマレーシアなど。東南アジアを中心に展開しています。コスト面でも、インフルエンサー起用の場合は1回あたり70万円、自社社員の場合は20万円に対し、AIキャラクターを使う場合は1回あたり約8万円。しかも、24時間のライブ配信や長時間の多言語対応が可能です。
こうした点で、AIライブコマースには大きな優位性があると考えています。
もう一つの事業は、AIによるライブ配信です。
現在、VTuberのライブ配信にはさまざまなサービスがありますが、有名なものとしてはDeNAさんの「IRIAM」、その他に「REALITY」や「Mirrativ」などが挙げられます。
その中で弊社は、“出演者がすべてAIライバー”という、AI専用のVTuberライブ配信アプリの開発・運営を目指しております。配信内容としては、ダンス・歌・音楽など多彩なエンタメ要素を含んでいます。
一般的なVTuberでは、「中の人」が突然辞めてしまい、キャラクター自体が引退するような事態が起こることもありますが、AIであればそうしたリスクはなく、24時間の配信が可能です。
本日は動画が流せませんが、現在は、AIキャラクターによる雑談配信、カラオケ配信、ゲーム実況、さらには恋愛相談や占いといった、多様なAIエンタメコンテンツを提供しており、ユーザーは自分の好きな配信に自由に参加いただけます。
ユーザー層については、現在インドネシアのユーザーが全体の約半数を占めており、グローバルに展開できる仕様となっています。
多言語対応も進めています。英語を選べば英語で、中国語を選べば中国語で楽しむことができ、世界中のユーザーが同じライブ空間でエンタメを共有できるような体験、世界観を実現していきたいと考えています。
AI Tuberには、「中の人」に依存しないことでIPリスクを回避できるというメリットがあります。
現在は、台湾の有名VTuberの方々や、日本国内のVTuber事務所の所属タレントも、次々とAIキャラクター化され、当プラットフォームに登場しています。
事務所の垣根を越えて、さまざまなVTuberが共演し、新しいエンタメ体験を次々と創出していく、そんな世界を私たちは目指しています。
以上となります。ありがとうございました。

株式会社Nayutam 代表取締役 岩田 英三郎 氏
よろしくお願いいたします。
Nayutamの本田と申します。
本日ご紹介するのは、「AIにDNAを与えることで、効率的にセキュリティとトラストを実現する」という技術です。
そもそも、なぜAIにDNAを持たせるという発想に至ったのか。それは、私が大学院生時代に分子生物学を研究していたことに由来しています。
生物は、自身の設計図であるDNAに基づいて成長し、環境に適応していきます。
同じように、AIにも固有のDNAを与えることで、学習を通じてその存在に一貫性や真正性を持たせることができるのではないかと考えました。
もちろん、人間の脳とAIは本質的に異なるものです。
しかし、「自己を保ち続ける仕組み」という共通点に着目し、ヒントを得ることで、信頼性の高いAI社会の実現に貢献できると考えています。
それでは、ここからは具体的な技術の説明を、代表の岩田よりご紹介させていただきます。
改めまして、Nayutamの岩田と申します。よろしくお願いいたします。
先ほど本田からご紹介があったとおり、彼女は分子生物学を専門としており、私は生体認証の分野で研究・開発を行ってきました。この二人の知見を掛け合わせて、昨年の8月にNayutamを創業しました。
そしてこのたび、製品開発が完了し、2025年4月8日にプレスリリースで発表したのが、世界に先駆けてリリースした「生体認証AIエージェント」です。
これは、未来の生体認証のあり方を示すものであり、「パーソナルAIエージェントをいかに安全に使えるようにするか」をテーマにした製品です。
ご存じのように、AIエージェントは自律的に24時間活動する存在です。人がそばにいない状態でも動き続ける中で、「では、誰がどうやってそのエージェントを認証するのか?」という課題が浮かび上がります。
私たちの技術は、その課題を解決するものです。
AIエージェントの大きな特性は二つ。自律性と、他のエージェントとの連携性。
この二つを安全に成立させるために、私たちは「DNAを埋め込んだAIエージェント」による認証の仕組みを開発しました。
よく聞かれるのが、「人がいないのに、どうやって生体認証するのか?」という質問です。
シンプルに言えば、私たちの認証エンジンに他のAIエージェントから「この人を認証してくれ」という依頼が届きます。あらかじめユーザーの生体情報(顔、手のひら など)を使ってAIエージェントにDNAを埋め込んでおき、そのDNAを元に照合を行う、つまり、DNAベースで本人性を確認するという仕組みです。
技術的な特徴としては、何度認証を行っても常に同じ精度で本人を識別できるという点が挙げられます。識別子は毎回変わりますが、正確さは変わらない。ここが特筆すべきところです。
DNA、エージェント、生体認証。それぞれ一般的には別の領域にあって繋がっていないものを、私たちは一つの技術として統合しました。そして、この「生体データからAIエージェントのDNAを生成する仕組み」について、すでに特許を取得しています。これが私たちの技術的優位性だと考えています。
とはいえ、AIエージェント自体がまだ世の中に十分浸透しているとは言えません。SalesforceのAgentforceなどが先行事例として存在しますが、一般に普及するにはまだ時間がかかります。
そんな中で、「どう使うか?」「どこで認証が必要になるか?」は、まだはっきりとは見えていない部分もあります。ただ、期待の声はすでに多数いただいておりまして、たとえば銀行からは「AIエージェントの認証セキュリティに大きな関心がある」といった声や、自治体からも「DXの推進にAIエージェントを活用したいが、パーソナル認証は必須になる」といったフィードバックをいただいています。
つまり、ニーズは確実にある。そして私たちのDNA認証技術が、そこにどう入っていけるか。まさに今、その可能性を探っているところです。
会社の創業は昨年の8月です。現在は営業などの準備段階にあり、実際の事業スタートは2025年8月を目標としています。
資金調達についても現在検討中です。
スタート前段階でシード調達を進めるかどうか、できるかどうかというフェーズにあり、場合によってはシリーズAと一体になる可能性もあります。技術的には強みがありますが、現時点で売上はゼロ。リリース直後ですので、資金調達の進め方が今後の重要なポイントになります。
このあたりの詳細は、後ほどの1on1でお話しできればと思っています。
ありがとうございました。

LobbyAI株式会社 代表取締役CEO 髙橋 京太郎 氏
「自治体営業・政策渉外で社会をアップデートする」LobbyAIです。よろしくお願いします。
まず、私の自己紹介をさせていただきます。
大学時代から政治学・政策学の分野で研究を行っており、在学中には衆議院議員の秘書として3年間、市議会の政務活動員としても活動してきました。一方で、Webディレクターとしての経験もあり、こうしたバックグラウンドを活かして「公共×IT」の領域でDXを実現したいという思いから、LobbyAIを立ち上げました。
CTOの西川は、長年AI分野の研究に取り組んできたエンジニアで、Google主催の国際AIコンペ「Kaggle」では、世界約20万人中2500位という高順位を獲得した実績のあるスペシャリストです。
また、顧問の山本は、元産経新聞の政治部記者であり、その経験を活かし、現在は「タイミー」や「グラファー」などのスタートアップで公共渉外顧問も務めています。
こうしたメンバーの知見を結集して生み出したのが、私たちのプロダクト「LobbyAI」です。先日、4,000万円の資金調達も完了し、現在はその資金をもとに事業開発を本格的に進めているところです。
皆さまは「ロビー活動」をご存じでしょうか。これは、自治体や官公庁に対して企業の声を届ける活動のことを指します。
いま、さまざまな領域で「政策」をしっかりと理解することが求められており、重要な局面を迎えています。
政府渉外機能を持つ企業は600社以上、地域渉外機能を持つ企業は6000社以上、そして自治体営業機能を持つ企業は3万社にも上ります。
こうした企業では、現在まさに求人が活発に行われており、政策渉外の重要性が高まっていることがうかがえます。
ただ一方で、渉外業務には課題もあります。
手間がかかるのに利益に直結しにくい、対応すべき範囲が多岐にわたり難易度が高い。そんな声が多く聞かれます。
そのような中、アメリカでは「FiscalNote社」が政策渉外のDXを進めています。一方の日本では、政治・行政の情報収集はいまだにアナログなままです。
「何を、誰に、どうやって伝えればいいのかわからない」。その結果、役所や官公庁内でたらい回しにされてしまう。これが今、現場で起きている問題です。
こうした状況を分析すると、大きく3つの課題が浮かび上がってきます。
1つ目は「政策に関する情報格差」、2つ目は「渉外活動の非効率性」、そして3つ目は「影響範囲の拡大」。
まさに今、これらを変えていかなければならない局面にあります。
なぜ問題なのかというと、たしかに政策には予算などの情報が公開されていますが、「今どこが動いているのか」がわからない。それが、現場で感じる最も大きな障壁になっています。
実際に私たちがヒアリングを行ったところ、1番目のデスクトップ調査から、2番目のステークホルダーへの接触に至るまでに、およそ70%のプロジェクトが頓挫しているという実態が明らかになりました。
また、「ルール変更が行われずノックアウトされる」というケースもあります。
たとえば、LUUPの場合。以下のような(※会場ではスライドで提示)ステークホルダーに対してアプローチしたからこそ、ルール変更を実現することができました。
一方、Uber Japanでは、外資系企業ということもあり、情報格差に巻き込まれてしまい、渉外がうまくいかずだったなどの状況になっています。
さらには、「そもそも許認可が得られずにノックアウトされる」という事例もあります。
洋上風力発電の開発プロジェクトでは、以下のような(※会場ではスライドで提示)ステークホルダーにアプローチして、同意を得る必要がありました。そのために、いわば「花火大会」のような根回しも行っていたのです。
このように、企業や団体が行政の動き出しにいち早く気づき、提案できる世界を、私たちは実現していきたいと考えています。
1番の認知ベースから、検討、意向、導入という流れの中で、私たちはまず、最初に通知を取得したタイミングからSaaS上で皆さんに提案を行っていきます。たとえば、「このタイミングで提案の骨子を作った方がいいですよ」とか、「この段階でこういう形で提案書を出すと効果的ですよ」といったかたちで、SaaSとBPaaSを掛け合わせた伴走支援をしていきます。
そして今、重要になっているのが、どの自治体に、何を、いつ届けるかがわかるようにすること。つまり、ホットスポット、ニーズの可視化が必要になってきているということです。いわゆるセールスマーケ的な言い方でいうと「任天堂的なところ」ですね。
議会での発言内容が変わってきたり、新しい予算が登場したり、首長が何かを発信したり、入札や新しい施策情報が出てきたり。そういった動きに対して、どの自治体の、誰にアプローチすべきかを提案していける。それがLobbyAIです。
もちろん領域によって、通知をすべきタイミングや効果的なアプローチの方法は違ってくると思うんですが、そのあたりも、「このタイミングではこういう提案が効きますよ」とか、「この人にこういうアプローチをするといいですよ」といったかたちで、リコメンドとアプローチ先の提案を組み合わせて支援していくイメージです。
実証実験でも、たとえばスタートアップに関連する発言を切り取ってみるだけでも、どの議員さんがどういう立場でどういうスタンスなのか、けっこうグラデーションがあることがわかりますし、行政の担当者も、誰がどれくらい発言しているかというのが数字で見えてきます。つまり、どこにアプローチすべきかがはっきりしてくるわけです。
そして、キーパーソンがどういうニーズを持っているのか、市民が何を求めているのか、そこをしっかり把握することがとても重要だということは、静岡ベンチャースタートアップ協会の理事の方からもご評価をいただいています。
こういったかたちで、今まで年間936時間かかっていた自治体営業や政策渉外支援を、週に1時間で対応できるようにしていく。そしてBPaaS型の伴走支援によって、売上そのものも伸ばしていける。そんなことを提案していきたいと考えています。
そして私たちは、6月1日にローカル版、つまり自治体営業に特化したバージョンを提供開始する予定です。あわせて、リサーチアシスト機能もプラスしていく予定です。
事前にタグを登録しておけば、それに応じた通知が届くようなリストも提供されるようになります。こうした仕組みを通じて、現場の皆さんがよりスムーズに動ける環境を整えていきます。
さらに、2025年度中には国政バージョンの「Lobby Government(ロビー・ガバメント)」のリリースも予定しています。こちらは、より広範な情報をカバーして、ステークホルダー分析まで行えるものになります。実際、すでに多くのご担当者の方からニーズの声をいただいています。
市場としては、地域レベル・国レベルでの自然エネルギーや再生可能エネルギー、物流倉庫やデータセンター建設費など、そうした渉外が必要となる分野だけで合計5,000億円規模の市場が存在しています。
そして、おそらく1兆円規模のアプローチを実現するためには、大学やコンサルファーム、インフラ系の自治体への導入に加えて、日系企業の海外進出時における現地情報の取得支援や、外資系企業が日本に進出する際のサポートなど、そういった分野にも展開していくことが必要だと考えています。
ローンチ以降は、月あたりプラス60万円程度での売上推移を想定していて、2025年12月以降にはPMF(プロダクト・マーケット・フィット)を達成して、さらに売上を伸ばしていく、加速させていくことを目指しています。
今後、渉外機能を持つ約5,500社のうち、10%に導入できれば、5年目には売上30億円を目指すことができると考えています。
最後になりますが、私たちが一番伝えたいコアバリューは、「政治がルールを決めている」ということなんです。政策や規制を理解し、活用できる企業・団体と、そうでないところとの間には、いま大きな情報格差があります。私たちはその格差を埋めていくことで、単に公平性を担保するだけでなく、社会全体の活力を引き出すことができると信じています。
誰もが政治というツールを平等に使える世界をつくる。それが、これからの日本のビジネスにとって、とても重要だと思っています。
ありがとうございました。

クレイ・テクノロジーズ株式会社 代表取締役CEO 中田智文 氏
こんにちは。クレイ・テクノロジーズの中田と申します。僕は共同創業者であり、CEOを務めています。
普段はサンフランシスコを拠点に活動しているんですが、ちょうど一昨日、日本に帰国したところでして、今週の金曜日まで滞在予定です。そんなタイミングで今日はお伺いさせていただきました。
私たちは「AI採用」の事業を行っている会社です。共同創業者のパートナーは今もアメリカにいます。彼はもともとソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタートし、その後、PEファンドやエンジニア組織の立ち上げといった分野で専門性を持っている人物です。
私たちが開発しているのは、「海外エンジニアの採用を、AIで、より速く、そして高精度に行う」という、次世代の採用ソリューションです。
なぜこの領域に取り組んでいるのかというと、ご存じの通り、日本ではIT人材の不足が深刻な状況が続いています。そして、その需要はこれからもどんどん増え続けていくことが予想されています。つまり、企業にとっては「限られた人材の生産性を今より1.7倍に引き上げる」か、「海外で人を採用する」かの、どちらかしか選択肢がなくなってきているわけです。
前者、つまり生産性をいきなり劇的に高めるというのは、現実的にはなかなか難しい。だからこそ、私たちは「海外の優秀な人材をいかにスムーズに採用するか」に注力しています。
ただ、海外での採用って、実は想像以上に難しいんです。
国ごとに使われている採用チャネルが違ったり、どこの大学出身の人が優秀なのかがよくわからなかったり。なので、1人ひとりに面接をして、コーディングテストをして…ということをやっていると、1人採用するのに数か月かかる、なんてことも珍しくありません。
でも、私たちの仕組みを使えば、それが「1時間」で完結できるんです。
どうやるのかというと、まず世界中からの人材をAIで一括ソーシングします。そこで集めたレジュメや職務経歴、スキル情報などを、すべてAIで解析します。そのうえで、AIによる一次面接やコーディングテストを実施していきます。
たとえば、こちらのスライドに映っている女性――実は存在しないAI面接官なんですけど、このAIが候補者に対して「どんなプロジェクトに関わってきましたか?」「この課題が起きたらどう解決しますか?」といったインタラクティブな質問をして、経験やスキルを深掘りしていきます。
さらにその後、ライブでのコーディングテストもAIが担当します。
こうすることで、まず第一に採用スピードが格段に上がります。そして、スクリーニングや技術評価といった“最終面接の前段階”をすべてAIで自動化することによって、人間では到底処理しきれない、数百~数千人規模の候補者を審査することができるんです。
その中からトップ1%を選んで採用する。そんなことが可能になります。
さらに、日本国内だけで採用していた企業が海外採用にシフトすることで、結果的にコストの最適化も期待できます。
そしてもう一つ。我々は、海外での給与支払いや各国のコンプライアンス対応といった「国をまたぐ採用に伴う面倒なバックオフィス業務」も、すべて一括でサポートしています。
単にAIツールを作っているだけではありません。私たちがやっているのは、世界中のエンジニアのプロファイルやスキル、レート、一次面接の動画などをすべてデータベース化することで、「いつでも、どこでも、正しいスキルを持った人を即採用できる」、そんな世界をつくることです。
つまり、私たちはAIリクルーターを作っているんです。
それはAIが自動でソーシングし、スクリーニングし、24時間働き続けてくれるリクルーターです。将来的には、こうしたAIリクルーターを展開することで、世界中どこでも人を採用し、チームを組める社会を実現したい。そんな未来を描いて、この事業を進めています。
ありがとうございました。

株式会社リチェルカ 代表取締役CEO 梅田 祥太郎 氏
弊社は株式会社リチェルカと申しまして、現在4期目の会社になります。
昨年、シードラウンドで資金調達を行いまして、それとは別に直近でおよそ1.5億円ほどデットでも調達しております。
会社の所在地は東京なのですが、実は昨日から仮移転をしまして、今回初めて自社オフィスを構えることができました。お付き合いのある皆さま、もしお気持ちなどいただけるようでしたら、お花などお贈りいただければと思います。
簡単に僕の経歴をご紹介しますと、もともとみずほ銀行に勤務しておりまして、その後、ERPを手がけるワークスアプリケーションズでキャリアを積みました。その後、スタートアップのAI insideでCRO(最高収益責任者)として上場を経験し、その後はギブテックさんでベンチャーパートナーという立場で出資先の支援を行いました。
その支援先の1社で、現在万博向けにブロックチェーンアプリを開発しているHashPortという会社でCOOを務めたあと、独立して今に至ります。
弊社の主要メンバーとしては、基本的にAI inside時代の仲間たち――具体的には当時のCTO、CFO、事業責任者、さらに一人目のエンジニアやリードエンジニアなどがいます。
僕たちが現在取り組んでいるのは、受発注を中心とした、いわゆるサプライチェーンマネジメント(SCM)の領域をカバーするソリューションの開発です。
ただ、SCMってかなり広い領域となるため、そこで僕たちはまず、データの整理から着手しています。
その第一歩として、アナログな業務をデジタルに置き換えるところからスタートしていて、今はそのフェーズのプロダクトをお客様にご提案しています。
このあたりは後ほど、もう少し詳しくお話させていただきます。
ちょっとここからガラッと話が変わるのですが、僕、バイクがめちゃくちゃ好きなんです。「全日本スーパーモト選手権」というバイクレースにも出ていて、茂原や熊本でレースをしたりしています。
中でも「TM」というイタリアのオフロードバイクがすごく好きで、オフロードのフェラーリと呼ばれるようなブランドなのですが、好きが高じて、2022年にこのTMの日本輸入元を事業承継しました。
これがリチェルカを始めるきっかけになっています。
この会社は年商で言っても1億円いかないくらいの、かなり小さな規模ですが、もう本当に大変で…。業務は紙だらけだし、今は大宮に在庫センターのような本社を構えているんですが、パーツも2万点くらいあって、棚卸しをすると4日くらいかかる状態です。売上管理も在庫管理もとにかく煩雑で、これはもうシステムを入れないと回らないぞ、と思っていろいろ探してみたんです。
僕自身、ワークスアプリケーションズにいた経験から、ERP(基幹業務システム)は詳しい自負があるのですが、10年経ってユーザーとしてシステムを探してみたら、正直どこも変わってない。欲しいものが全然ない。この領域は、驚くほど進化していないと気づかされました。
だったら自分たちで作ろうということで、2024年9月に立ち上げたのが「RECERQA SCM」です。
これは仕入・在庫・販売を一元管理できるアプリケーションで、いわゆるSMB(中小企業)向けの販売管理、在庫管理、仕入管理にあたるものになります。
UI/UXにもこだわって、実際に現場で使いやすいものを目指して、1年半かけて開発・リリースしました。
とはいえ、このような規模のシステムになると、提案金額は年間で1〜2億円規模になってくることもあり、商談の検討期間が2年くらいかかるケースもあるんです。
その中で改めて気づいたのが、そもそもデータ化されていないという現実でした。見積書や請求書、注文書はFAXで届いて、それを手入力している…なんていう現場が今も本当に多いんです。
僕自身、以前在籍していたAI insideという会社では、「AI-OCR」のシェアNo.1プロダクトを作ってきたという経験もあって、やっぱりこのアナログ→デジタル化の部分にもう一度チャレンジすべきだな、と。
今はそこにフォーカスして事業を進めているところです。
氷山の一角という話なのですが、OCRについてはこのあとマップもお見せする予定です。定型・非定型という大きな区分がありまして、フォーマットが固定されているものと、そうでないバラバラなものがあります。
AI inside時代には、自社プロダクトを3000社に導入しました。正直、その実績もあって、悪くない取り組みだったと考えていました。ただ、後からわかったのは、導入されている企業というのは、あくまで氷山の一角だということです。多くの企業ではOCRが導入されていますが、実際に解決できている課題はほんの一部にすぎません。
特に、フォーマットがバラバラなお客様独自の注文書や納品書などは、今でも紙が多く残っているのが現状です。
TAM(Total Addressable Market)についても少し整理しているのですが、実際、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)市場は非常に大きく、AI-OCR市場も同様です。僕自身、AI-OCRに17年ほど関わっておりまして、正直飽きていた部分もありました。ただ、市場は今もなお15%程度の成長を続けており、現在500億円ほどの規模になっています。仮にその10%を取るだけでも50億円規模になりますし、毎年50億円単位で市場が拡大しています。ですので、現在はそこに注力してセールスを展開しているという状況です。
先ほど触れた定型・非定型という区分ですが、定型とは、銀行の申込書のようにフォーマットが決まっているもので、こうしたものについては、これまでのOCRの進化によって、手書き文字も読めるようになってきました。AI insideでも、この手書き文字の認識を武器にシェアを大きく伸ばしました。
一方で、注文書や決算書といった非定型フォーマットの文書は非常に難しく、ここを我々リチェルカがカバーしています。
僕らのAI-OCRは、「精度が高い」「設定が簡単」「チェックが不要になる」といった点が特徴で、実際にお客様への導入もかなり進んでいます。導入先での精度比較でも、シェアナンバーワンのA社に対して、25%程度精度が高いという結果が出ており、今のところコンペで負けたことは一度もありません。それだけ、日本で最も高性能なAI-OCRを作れているという自負があります。
設定については、弊社のOCRにおいて、画像認識モデルと生成AIを組み合わせて使用しています。生成AIには、GBKやフローといった技術を活用しており、非常に生成的な設定が可能です。抽出したい項目を入力するだけで、必要なデータを全て吸い上げるような仕様になっています。
また、OCRは「読み取ってCSVで出す」だけが従来の役割でしたが、我々は業務全体をエンドツーエンドで解決することを目指しています。たとえば、読み取った内容を生成AIに渡して計算させたり、勘定科目を推察させたり、正誤判定を出したり、フラグを立てたりといった、RPAが担ってきた後工程まで巻き取っていく仕組みを提供しています。
なお、社名などは後ほどの1on1で直接お伝えできればと思っていますが、最近では比較的大きな企業様からの受注が増えております。現在、弊社のユーザーは2社を除き、すべて上場企業様というのが弊社の大きな成果のひとつだと考えています。
最後にもう一度お伝えしたいのは、AI-OCRはあくまでも私たちのビジネスの始まりに過ぎないということです。このデータを活用して、最終的には受発注の領域へと進んでいきます。たとえば、受注受付、仕入れの発注、納期の回答、メーカーへの確認、そして顧客への回答といった一連の流れを、AIエージェントを用いて自動化する研究開発を進めています。最終的にそこに到達することを目指している企業だと覚えていただけたらと思います。株式会社リチェルカでした。

株式会社Sync8 代表取締役CEO 吉田 透 氏
皆さん、こんばんは。吉田と申します。
私たちは福岡に本社を構え、国内では名古屋、そして海外ではカナダのトロント、インドのハイデラバードにも拠点を持っています。
「誰もが挑戦できる世の中をつくる」というビジョンのもと、これまでに400社以上のネットショップの立ち上げや、運営代行の支援を行ってきました。また、これまでに500名以上の方々に対し、EC商品やサービスの販売方法に関する教育プログラムも提供してきました。
メンバーについて少しご紹介すると、私は学生起業からスタートし、約18年間、ずっとECの領域に携わってきました。もう一人の代表である黒田はBtoC分野に強みを持ち、現在は人材教育事業を担当しています。また、技術顧問にはインド工科大学の教授にも加わっていただき、体制を整えています。
さて、皆さんご存じのとおり、EC業界は今もなお成長を続けており、まだしばらくはその勢いが続くと言われています。
今日はAIに関するピッチイベントですが、私たちも実は3年ほど前から「AIエージェント」に取り組んできました。ただ、当時は少し早すぎたようで、皆さんにキョトンとした顔をされてしまった経験があります。そこで私たちは戦略を見直し、あまり「難しい話はやめよう」と方針を転換して、仕組みを変えました。
私たちの本社は福岡ということもあり、地方の中小企業のお客様が多くいらっしゃいます。そういった企業では、人手不足や専門的なノウハウ不足、日々の業務に追われる中でのリソースのやりくりが大きな課題となっています。これまでよく聞いたのが、「デジタルのことは若手に任せればいい」というお話です。
ただ、今の日本全体の労働力の構造を見ると、働く人の総数は増えている一方で、20代の就業者数は減少しており、逆に55歳以上の方の就業が増えています。今後は20代1人に対して55歳以上の方が2人という構図になっていくと予測されています。つまり、若手だけに任せておけばよい時代ではなくなっている、というのが私たちが地方の事業主さんとお話する中で実感しているところです。
EC運営というのは、「人・モノ・金・データ・AI」と、非常に幅広い領域にまたがります。それぞれを別のサービスでまかなおうとすると、特にリテラシーの低い中小企業の方々にとっては、選び取ること自体が大きな負担になります。
そこで私たちは、よく「JAのような存在を目指しています」とお伝えしています。JAが農業の技術支援から素材調達、販路開拓まで支援するように、私たちもECに関するあらゆるお困りごとを一元的に受け止めて、適切な解決策を提供できる存在でありたいと思っています。
私たちの主軸は「EC運営代行」ですが、それに加えて「ペイメントサービス」と「教育」も展開しています。EC代行だけを切り取るとBPO(業務委託)に見えるかもしれませんが、他の企業と連携しながら包括的なサービス提供に取り組んでおり、サービスの幅をどんどん広げているところです。
特に教育領域では、2021年から「ECアカデミア」という名称で、EC運営ができる人材を育成する取り組みをスタートしました。ECの知見を持った人材の採用は、実は意外と難しいんです。
たとえばWebデザイナーを採用しても、デザインはできても商売のプロではない、というようなミスマッチがよく起きます。そこで私たちは、商売の現場に強い人材を自社で育て、これまでに500名以上の方を輩出してきました。現在、実際にストア支援で稼働しているメンバーは約270名おり、AIを活用しながら日々支援を行っています。今年は、このメンバーをさらに連携させて「3倍の労働力」を生み出すことを目標としています。
現在、乱立しているEC関連のサービスに対して、私たちが「窓口」の役割を担い、一本化していくことにも力を入れています。特にAI領域では「MCP(マルチチャネルプラットフォーム)」といった言葉もよく聞かれますが、プラットフォームや物流会社が違えば運用ルールも異なり、リテラシーの低い企業にとっては非常に煩雑です。私たちが「ハブ」となって間に入り、まるで通訳のような形で運営をスムーズにできるようにしていきたいと考えています。
そして現在、さまざまな企業様と連携しながら、協業パッケージを組み上げているところです。今日、INTLOOPさんのお話を聞いていて、私たちが描いている未来像と近いと感じました。まさにその「コマース版エコシステム」みたいなものを、私たちは構築していきたいと思っています。
このあと、皆さんともいろいろなお話ができればと思いますので、よろしくお願いいたします。

Tooon株式会社 代表取締役 杉山 裕磨 氏
こんにちは、Tooonの杉山です。本日はよろしくお願いいたします。
私たちは「Tooon(トーン)」という、“やりたいことを伝えるだけで業務が進むAIエージェント”を提供しています。
メインのユーザーは、フリーランスを中心としたSMB(中小規模の事業者)の方々です。AIの進化によって、ここ1〜2年で「ワークフローそのものを再定義できる時代になった」と私たちは考えています。これまでBPO(業務委託)として人が担っていたような「成果を出すプロセス」を、AIで再現・実行できるようになってきたのではないかと思っています。そうした未来に向けて、私たちの事業を進めているところです。
実際に事業をやっていくとなると、「ゴールの設定」から始まり、「目標の設計」「プロジェクトやタスクの管理」「リソース配分」「請求・決済」「分析・改善」など、非常に多くの業務プロセスが発生します。現状は、それぞれに特化したSaaSツールを並行して使っている方が多く、どうしても業務が断片化してしまっているのが実情です。
そこで私たちは、こうした業務の一連の流れを、AIをフロントに置いたエージェントが一括で担えるような仕組みを提供しています。
たとえば、ユーザーが「こんなゴールを達成したい」と入力すれば、それをもとにAIが自動的にマイルストーンを設計し、必要なタスクを細分化、リソースを割り振り、進捗を管理し、請求やレポート作成まで代行する、そのようなサービスになっています。
Tooonでは、目的ややりたいことを入力するだけで、AIが「こういう進め方はどうでしょうか?」と提案してくれます。こちらで用意しているプロンプトをベースに、たとえば「イベントを開催したい」とか「この目標を達成したい」と入力すれば、裏側でGPTが処理し、最適な進め方を提示してくれる仕組みです。
あとは、ChatGPTのようにAIとやり取りをしながら、必要な情報を入力していくと、自動でプロジェクトのタイトルや目標、概要などが整理されて画面に反映されます。プロジェクトに必要な情報を一括で整えることができるのが特徴です。
このプロジェクトには、タスクの管理やBtoB取引、請求書の発行といった業務も直接つながっていて、タスクからそのまま請求書を発行することもできます。実務で必要な機能が揃っている、そんなサービスになっています。
次にレポート機能についてです。
売上や支出といった情報を、オールインワンで見られる形となっています。これにより、「いつ、どこで、どんな仕事をしたのか」「どれだけの収益や支出があったのか」といった業務履歴を、すぐに振り返ることができます。
これまでのトラクションとしては、PLG(プロダクトレッドグロース)の形で、ユーザーの紹介や自然流入を通じて、約3,000事業者の方々にご利用いただいています。
AIエージェントのすべての機能がまだ完成しているわけではありませんが、今年前半での開発完了を目指して進めています。10月のローンチを予定しており、その時点ではSlackのAPIと連携して、「〇〇株式会社に請求書を送りたい」と話しかけると、Tooon側がAIチャットのように反応して処理を進めてくれる――そんな体験ができることを目指しています。
ユーザーがSaaSの画面を意識せず、チャット上のやりとりだけで業務が完結するような形を考えています。
また、ここ1〜2週間で、APIやMCPサーバーの開放が業界的にも始まりつつあると感じています。私たちも、TooonのAPIを開放し、外部開発者やユーザーが独自のワークフローテンプレートを作れるようにして、ユーザーコミュニティを育てながら、さらなる事業成長につなげていく方針です。
事業としての見通しは、今年度のARR(年間経常収益)で約5,000万円、来年度には1億円のARR達成を目標にしており、次の資金調達にもつなげていきたいと考えています。
最後にあと少しお話させてください。Tooonの原点は、もともと「クリエイターが自分の仕事に集中できるように」という思いからスタートしました。
最初は、庶務や雑務を人力で代行するところから始まり、その後、SaaSとしてツール化し、現在はAIエージェントへと進化しています。
今は「ツールを操作する時代」から、「AIに業務を任せる時代」へと移り変わろうとしています。私たちは、ユーザーにとっての「業務パートナー」や「秘書」のような存在を、AIで実現していきたいと考えています。
以上になります。本日はよろしくお願いします。