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特別対談:スタートアップが成長フェーズの壁を超えるために。新コミュニティ「IVIC」が目指す姿とは|Idein中村氏 × INTLOOP Strategy藤川(第2回/全3回)

  • INTLOOP Ventures Innovation Community編集部
  • 3月6日
  • 読了時間: 9分

更新日:5月13日



スタートアップが事業を拡大する過程で直面する「ヒト・モノ・カネ」の課題。これらを解決するために、INTLOOPが立ち上げた新たなコミュニティ「IVIC」が注目を集めています。対談の第2回となる本記事では、Idein株式会社の代表・中村氏とINTLOOP Strategy株式会社の代表・藤川が、IVICの特徴と魅力、および理想とするコミュニティのあり方について語り合います。





―― 藤川社長はまさに、「ヒト・モノ・カネ」を中心に、スタートアップが直面する悩みを解決するようなコミュニティを作っていこうとされているのですよね。その背景について教えていただけますか?


藤川:

はい、ありがとうございます。

これは、もともと創業オーナーである林博文の想いを継承している形になります。INTLOOPもかつては小さなスタートアップでした。そこから徐々に成長し、Ideinさんが今まさに迎えているステージを経て、現在の規模に至っています。どの企業も、最初は小さな組織からスタートし、成長していくという流れは変わらないものだと考えています。


林自身も経営の苦しみや難しさを経験してきました。特に大変なのは、スタートアップがある程度の成長フェーズに入る段階です。社員数で表現するのは難しいですが、たとえば1〜10人、10〜100人と規模が拡大していく中で、経営の課題は増していきます。特に、小規模な段階では経営の難易度が非常に高いと感じています。


そこで私たちは「IVIC(INTLOOP Ventures Innovation Community)」を立ち上げました。IVICは、スタートアップが成長する各ステージにおいて、人材の提供だけでなく、より幅広い支援を行うことを目的としています。企業の成長には、単に人材を確保するだけでは不十分です。たとえば、新しいソリューションを開発しなければ成長が見込めない場合、開発支援も必要になります。


また、Ideinさんは順調に資金調達を進めてこられたと拝察していますが、資金調達が苦手な企業も多く存在します。特に、VCや金融機関、機関投資家などへのネットワークを持たない企業は、資金面で大きな課題を抱えがちです。


IVICでは、そうした「お金」「人材」「モノ」の悩みを抱える企業が、それぞれの成長フェーズに応じた支援を受けられるよう、経営者同士がネットワークを築ける場を提供します。この場でさまざまなコミュニケーションやトランザクションが生まれることで、成長意欲のある経営者に対して、窓口の提供だけでなく、必要に応じてその後のコミットメントを含めた支援を行っていきたいと考えています。






―― IdeinさんはAI分野で非常に有名ですが、そこにコンサルファーム出身の方々が関わることで、良い相乗効果が生まれるのではないかと感じます。今回のコミュニティにおいて、どのような組み合わせがより有効に活用できるとお考えですか?


藤川:

現在、私たちは9つの主要テーマを掲げており、その中にはAIやAIエージェントも含まれています。特に2025年以降、この分野は大きな注目を集めると考えています。


また、ロボティクスやオートメーションも重要なテーマです。たとえば、テスラが進めている「人間が運転しないタクシー」のような技術革新は今後さらに加速していくでしょう。


さらに、日本が直面する社会課題の解決策としてフードテックやアグリテックも注目しています。地方の過疎化や食料自給率の低下といった問題に対して、技術的アプローチは大きな意義を持ちます。これに関連して、持続可能な事業を支えるエネルギー分野も欠かせません。


加えて、ヒューマンテックやバイオ、ヘルスケアといった領域も急速に発展しています。北米では「人間の寿命が100歳から200歳に延びる」といった予測もあり、今後さらに注目されるでしょう。


私たちのコミュニティでは、こうした多岐にわたる領域のスタートアップが集まり、互いに化学反応(ケミストリー)を起こすことを狙いとしています。たとえば、フードテック・アグリテックの企業とエネルギー企業が協力すれば、新たなビジネスチャンスが生まれるかもしれません。異なる事業領域のスタートアップが交わることで、新たなイノベーションが生まれる場を提供していきたいと考えています。




―― 中村社長は、これまで多くのプログラムに採択されてこられたと思いますが、INTLOOP社の今回の試みを最初に聞いて、どのように感じましたか?


中村:

非常に素晴らしい取り組みだと思いました。特に、グロースフェーズに特化した支援というのは非常に貴重であり、この段階で直面する「人」と「資金」に関する課題への具体的な支援が含まれている点が大きいと感じました。


私自身の経験を振り返ると、プログラムの参加ももちろん重要でしたが、最も大きな影響を与えたのは「人と人のつながり」でした。最初の顧客獲得も、結局は個人的なネットワークを通じて得たものでしたし、初期の社員もほとんど知り合いでした。


藤川:

なるほど。


中村:

経営というのは、学びながら進めていく部分も多く、私自身も先輩企業の方々からメンタリングや壁打ちをしていただきながら成長してきました。特に、創業初期は企業としての認知度が低いため、そうした環境に飛び込んでくれるのは知り合いであることが多いですし、発注をしてくれるのも、個人的な思い入れを持ってくれる担当者の方々だったりします。


こうした人とのつながりの重要性は、フェーズが進んだ今でも変わらないと感じています。もちろん、組織的にセールスプロセスを回して顧客を獲得することは必要ですが、それと同時に「人に頼る部分」は依然として大きいのです。


今回の取り組みでは、「単なるプログラム」ではなく、「コミュニティ」として人と人のつながりを重視している点に大きな価値を感じます。ネットワーキングというキーワードもありましたが、起業家というのはどうしても孤独になりがちなものです。その中で、こうした人とつながる場があることは、非常に意義深いと感じました。







―― スタートアップがコミュニティに参加していく場合、経営にどのように取り入れていくのがよいとお考えですか?


中村:

コミュニティを経営に取り入れようと、あまり堅苦しく考える必要はないと思います。むしろ、「どれだけ人とアイデアを交換し、ネットワークを築いたか」という点が重要です。


特にCxOクラスの人間にとっては、人と会い、外の世界と対話し、ネットワークを広げていくことが不可欠です。そうすることで、自分自身の引き出しも増えていきます。


ですので、「経営にコミュニティを活用する」と構えるのではなく、「どんどん参加し、積極的に活用することが当たり前」というマインドセットでいるのが理想的だと思います。私自身も、積極的にこうした場に参加し、ネットワークを広げています。



藤川:

そうですよね。だからこそ、IVICは誰でも気軽に経営に関する悩みを持ち寄れる、そんなコミュニティにしていきたいと思っています。


たとえば、通常のアポイントでは1つの悩みに対して1回の相談、いわば「1打席」しか立てないかもしれません。しかし、コミュニティに来れば、短時間で「100打席」立つことも可能になるのではないかと。


たとえば、ある経営者が特定の課題を抱えて相談に来たとします。その場で適切な人に話を聞き、方向性が見えてきたとしましょう。すると、次のステップとして資金調達の話が出たときには、ちょうどファンドの関係者がコミュニティに参加しているかもしれません。その場で資金の悩みも相談でき、解決策が見えてくる。


さらに、人材の採用についても、INTLOOPは人材・コンサルティング企業でもあるので相談ができますし、システム開発の悩みがあれば、その分野に強いメンバーもいます。


このように、経営者が抱えるあらゆる課題に対して、多角的な視点で解決の糸口を見つけられる場として、IVICを活用してほしいと思っています。






―― 良いコミュニティを作るには、自然発生的な有機的なつながりをどう生み出すかが重要ということでしょうか?また、良いコミュニティの定義や、その解像度を高めるためのポイントについてもお聞かせください。


藤川:

そうですね。まず、あまり「重厚長大なイメージ」を持たないことが重要だと思っています。スタートアップはまだ経済圏が小さく、仲間の数も限られているので、多くの企業が難局に直面したり、壁にぶつかったりしている状況だと思います。


だからこそ、「まずは気軽に相談できる場」が大切です。たとえば、問題が整理しきれていなくても、とにかく相談してみる。そうすると、コミュニティ内のさまざまな人が話しかけてくれて、いつの間にか解決の糸口が見えてくる。そういう「自然と課題が解決していく場」こそ、私にとって理想的なコミュニティだと考えています。


中村さんとしては、どうでしょう?さまざまなコミュニティやコンソーシアムに参加されていると思いますが、その経験を踏まえて、スタートアップにとって理想的なコミュニティとはどのようなものだとお考えですか?


中村:

スタートアップにとっては「とにかく機会が多くあること」が非常に重要です。ネットワーキングイベントやデモデイ、ピッチイベントなど、とにかくスピード感を持ってさまざまなチャンスを掴む必要があります。スタートアップの立ち上げでは、とにかく行動しなければなりません。


そのため、顧客候補となる人、パートナー候補、投資家候補と出会える場が活発で盛り上がっていることが、良いコミュニティの条件だと考えています。私自身も積極的にそういった場に参加していますし、もう一つ重要なのは「雰囲気形成」ですね。


藤川:

いわゆる「ワイガヤ(ワイワイガヤガヤ)」ですね。


中村:

そうなんです。目的がはっきりしていなくても、自然発生的に会話やアイデアが生まれ、最終的にコミュニティをオーガナイズしている企業や組織に価値が還元される、そんな循環が生まれるのが理想です。


藤川:

まさにそうですね。だからこそ、私が先ほど言った「重厚長大なイメージ」とは真逆で、気軽にワイガヤができる場が大切だと思っています。多くの人が「考えを整理してから行かなきゃ」と思いがちですが、「とりあえず行ってみよう」「IVICなら気軽に参加できる」という雰囲気のあるコミュニティを目指したいですね。





―― 年齢に関係なく、誰でも参加して大丈夫なのでしょうか?


藤川:

はい、まったく問題ありません。今では大学発のベンチャー企業が大きく成長するケースも増えていて、テック企業も多様化しています。そのため、年齢の制限を設けるつもりは一切ありませんし、今後も設定することはないですね。


また、どうしても若年層に注目が集まりがちですが、INTLOOPではシニア層の採用も積極的に行っています。たとえば、大手企業で長年のキャリアを積み、確固たる実績を持つ60代・70代の方が、新たにスタートアップを立ち上げるというケースも十分に考えられます。


ですので、「0歳から何歳まで」と明確に線引きをすることはありません。さすがに小学生は難しいかもしれませんが(笑)、強い意志を持ち、楽しみながら事業を成長させたいと考える経営者の方々には、積極的に場を提供していきたいですね。




*****



本記事では、スタートアップの「ヒト・モノ・カネ」に関する課題を支援するコミュニティ「IVIC」の特徴と、その目指す姿を紹介しました。経営の悩みを共有し、強固なネットワークを築ける場として、IVICはさらなる発展を目指しています。


次回、対談最終回「孤独な経営者に必要なのは“つながり”。IVICが拓くスタートアップ支援の新たな地平」では、IVICのさらなる魅力や展望、スタートアップがコミュニティを活用するコツなどについてさらに深く語り合います。ぜひ、あわせてご覧ください!




Editor

INTLOOP Ventures Innovation Community 編集部


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